発注書だけでファクタリングを考える前に|納品前後の確認手順
発注書があっても、納品前の注文と支払待ちの代金では確認点が異なります。履行状況、受領記録、入出金日を分け、ファクタリング相談前に整理する手順を解説します。
発注書を受け取った直後に材料代や外注費の支払いが先に来る。そんなとき、「発注書があるからファクタリングで資金を用意できる」と考える前に、注文のどこまでが実際に進んでいるかを確かめたいところです。まだ納品していない仕事の代金と、納品済みで支払を待っている代金は、同じ予定表に載っていても、確認すべき事実が違います。
発注書と、支払を待つ代金を分ける
発注書は、発注内容、数量、単価、納期などを確認する手掛かりです。一方で、発注書を受け取っただけでは、その内容どおりに仕事を終え、いくらをいつ受け取るかが確定したとは限りません。仕様変更、数量変更、納期の変更があり得るなら、最初の注文額をそのまま入金予定額として扱わないほうが安全です。
金融庁は、一般的なファクタリングを「事業者が保有している債権等を期日前に買い取るサービス」と説明しています。これは発注書の存在だけで、どの事業者でも、どの段階の注文でも買取を受けられるという説明ではありません。対象となる代金の状態や必要資料は、取引条件と買い手側の確認によって異なります。金融庁の注意喚起を読み、発注前や作業途中の資金需要を、納品後の代金と同一視しないことが出発点です。
たとえば、製作を始めるための仕入代金が今日必要でも、完成と納品が来月なら、資金が必要な日と代金を請求できる状態になる日は離れています。この差を埋める方法を検討するとき、未完成の注文を既に回収待ちの代金として見積もると、相談の前提がずれます。先に「まだ履行していない部分」と「既に履行した部分」を分けてください。
納品・受領・請求の時点を確認する
製造委託など取適法の対象となる取引では、支払期日の考え方を確認できます。公正取引委員会の取適法Q&Aは、対象取引の代金の支払期日を受領日から起算して60日以内に定めると説明しています。ここでいう受領日を、発注日や発注書の発行日へ読み替えることはできません。また、取適法の適用は取引内容や事業者の規模などで決まるため、すべての発注にこの規律がそのまま当てはまるわけではありません。
手元の案件では、発注書だけでなく、納品の記録、相手による受領の記録、請求額の合意、支払条件を順に確認します。物品の一部だけを納めた場合や、役務の提供が複数回に分かれる場合は、全額を一つの入金日へまとめず、どの範囲の仕事が済んだかを記録します。取引相手に請求できる額や時期に争いがあるなら、その状態を隠して相談しないでください。
請求書の発行がまだでも、直ちに「代金がない」とも「買取できる」とも決められません。契約内容、履行状況、受領や検収の記録、支払条件を見て個別に判断する領域です。担当者には、何を納め、相手からどの確認を受け、残る作業が何かを具体的に説明できるようにしておきます。
先に必要な支払いは資金繰り表へ置く
発注段階で困りやすいのは、将来の売上が見えていても、先払いする材料代や外注費が手元資金を超えることです。日本政策金融公庫の資金繰り表の記入例は、売上とその回収予定、仕入や外注費の支払予定を別の欄に分けています。注文金額をそのまま今月の入金欄に書くのでなく、入金予定月と支払予定月を分ける使い方ができます。
まず、仕入先や外注先へ支払う日を列挙し、その日に使える預金残高を見ます。次に、納品予定日、相手の受領予定日、請求日、契約上の支払日を別々に置きます。日付が未確定なら空欄や「要確認」とし、希望日を確定日として扱わないことが大切です。受注額の増加だけを見て判断すると、支払いが先行する週の不足を見落とします。
資金繰り表は、ファクタリングを使うと決めるためだけの道具ではありません。発注者への前払いや分割払いの相談、仕入先との支払条件の確認、既存の資金調達手段の検討にも同じ表を使えます。売上の予定と現金の動きを分けておけば、どの選択肢でも不足が生じる期間を説明しやすくなります。
既に納品した分があるなら、対象を絞る
一つの発注に複数の納品がある場合、完了した分と残りの作業を混ぜないでください。相談の候補にするなら、既に納めた範囲、相手が受領した範囲、対応する請求額と支払予定をそろえます。発注書の総額を出すだけでは、これから作る分まで含まれているか判断できません。
同じ理由で、注文後に単価や数量を変更したなら、元の発注書と変更の合意が分かる記録を照らし合わせます。請求額が未確定なら、その不確実さも伝えます。資料を多く集めるより、各資料が同じ仕事の同じ範囲を指していると説明できることが役立ちます。相手企業名や請求書などの機密資料は、公開欄へ書き込まず、必要な相手にだけ安全な方法で提出してください。
買取条件を比べる段階では、対象とする代金の額、実際に受け取る額、費用の内訳、入金予定日、相手への通知方法を一緒に確認します。金融庁は高額な手数料や貸付けを装う取引への注意も促しています。早く資金が必要でも、売り手が未回収分を買い戻すような条件や、説明しにくい費用を読み飛ばさないでください。
相談前に相手へ伝えること
相談では、「発注書があります」だけで終わらせず、注文を受けた日、現在の作業段階、納品済みの範囲、相手による受領確認の有無、請求額と支払日の確定状況を順に伝えます。資料に記載された予定と実際の進行が違うなら、変更後の状況も添えます。これなら、担当者が何を確認すべきかを判断しやすくなります。
まだ全量を納めていない場合は、残りの製作費を今回の相談対象に含めてよいかを確認します。対象外なら、いつ再検討できるか、必要な記録は何かを聞きます。一方、納品済みの分がある場合でも、買取の可否や条件は相手の審査と契約次第です。発注書や請求書が揃っただけで承認や入金を約束するものではありません。
PayBridgeは、ファクタリングを希望する売り手と審査済みの買い手をつなぐマーケットプレイスです。プラットフォーム自身が代金を買い取る仕組みではありません。納品済みで支払を待つ代金について検討するなら、まず入出金の時期と対象の範囲を整理し、掲載・取引の条件を確認してください。発注段階の資金不足は、その注文を直ちに売れる前提にせず、支払いの調整も含めて判断するのが実務的です。
参考情報
記事作成時に確認した外部情報です。リンク先の内容や公開日は変更される場合があります。